タンパク質を腐らせない技術

タンパク質というものは、それがプロテイン粉末でも牛肉でも、大豆でも卵でも魚でも、放っておけばやがて微生物が繁殖して腐っていきます。

そして人間の体も水分を除けば一番多いのはタンパク質ですから、死んでしまえばやがて腐って土に還っていくことになります。

もちろんタンパク質以外の栄養素も腐敗はしますが、水分を除けば人体の外観を保つのに一番重要なのはタンパク質でしょう。

昔々、死体を腐らせずに保存する事ができれば、いつかその人が蘇ると信じてミイラにしたり、また比較的近年になっても、死体を美しいまま保存しようと色々な研究がされてきました。

人体

その中でも最も原始的な方法は、死体を乾燥させること。
つまりはミイラです。

腐るということはすなわち微生物が繁殖するということで、微生物が繁殖するためには水分が必要ですから、カラカラに乾燥させしまえばほとんど腐らなくなります。

しかし、ミイラは内臓を取り除き、水分も蒸発させてしまうので、とても「生前のまま」という状態では保存できないのが欠点。しかも湿度の高い場所では、空気中の水分だけでも腐敗が進んでしまいます。

比較的新しい技術としては冷凍保存という方法もありますが、水分が凍ってカチコチになってしまいますし、表面は霜で真っ白け。
何よりも冷凍状態をずっと保つのが困難でしょう。

医療用標本としておなじみの技術にはホルマリン漬けというのがありますが、そもそもホルマリンというのは人体にとってものすごく有害な液体なので、取扱いが難しいのが難点です。

しかし、最近はドイツの科学者が発明したプラスティネーションという技術によって、ほぼ生前の外観・質感を保ったまま死体を保存する事ができるようになっているそうです。

原理としては人体のタンパク質を固定(変性)させた後に水分や脂肪分などをシリコンなどの樹脂に置換するというもの。

プラスティネーションで処理した人体遺体は、乾燥した場所や低温の冷蔵庫などに入れる必要も、特殊な液体に浸けておく必要も無く、手で触れて観察する事も可能。

海外では『body worlds』日本では『人体の不思議展』というイベントで、一般公開もされているようです。

一部からは「死体を見せ物にするなんて・・・」という批判もあるようですが、技術としては素晴らしいものだと思うので、興味のある人は見てみて下さい。

「人体の不思議展」開催の様子(動画です。)
The Real Human Bodies Exhibit
※生体標本やその製作工程が登場しますのでご注意下さい。

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