スーパーで古い肉を選ぶべき理由

食品は新鮮な方が美味しいのが普通だと思います。

果物や野菜などをはじめ、穀物や魚なども基本的には鮮度が大事ですし、「採れたて」には付加価値がありますよね。

逆に古くなると水分が抜けてパサパサしたり、鮮度が落ちて場合によっては腐ってしまったりします。

時間が経って美味しくなるものもあるにはあるけれど、熟成されて味が良くなる物といえばワインやチーズくらいしか思い浮かばないという人が多いんじゃないでしょうか。

しかし実際には、鮮度が大切とされている牛肉や豚肉、魚なども、本当は時間が経ったほうが熟成されて美味しくなるんです。

そして、これには化学的な理由があります。

動物の体の中には、活動するためのエネルギーを蓄えておく物質が存在します。

この物質は生きている時にはエネルギー満タンか、あるいはそれに近い状態になっています。
そして、仮にバッテリー残量（のようなもの）が減ってしまったとしても、すぐにまた補給されるのです。

生物は体が完全に無くなったら動けなくなって死んでしまいますからね。

しかし、動物が死ぬと、体の中にあるそれらの物質が分解され始めます。

そして、分解がある程度の段階まで進むと、人間が「美味しい」と感じる旨味成分であるアミノ酸に変化するわけです。

最近は時間をかけて肉の旨味を熟成された「エイジングビーフ」なんていうのが売られていたりしますが、あれはこの原理を応用したものです。

エイジングというのは、温度や湿度などを管理した場所で、肉が腐らないように熟成させることで、新鮮な肉よりも美味しい状態にする技術。

時間が経つと表面にはびっしりとカビが付いてたりもしますが、これはむしろ美味しく熟成されている証拠なんだそうです。

カビというと「うわー・・・」と引いてしまいそうですが、削る前のかつお節の表面に付いている白い粉もカビですからね。

昔から肉は腐りかけが一番うまい、などと言われていますが、これは別にヤケクソになってるわけでも何でもなくて、ちゃんと科学的根拠があったわけです。

だから、スーパーなどでちょっと変色したくらいのお肉の味が、新鮮な肉ものに劣ることはまず無いと言えるでしょう。

すぐに料理して食べるなら値引きシールが貼られたくらいがベストタイミングってことです（笑）

ただし、きちんとした方法で保存されていればの話ですよ。

冷蔵庫に入れるのを忘れて放置した肉や魚は食中毒の原因になるだけですから気をつけて下さい（笑）。